外来迅速検体管理加算自動算定システムの導入効果と検査部の対応

公開日 2011年07月01日

(平成23年7月:最新治療)

検査部 柴田  宏

  外来迅速検体検査加算とは、当該保険医療機関で行われた検体検査について、当日中に結果を説明した上で文書により情報を提供し、結果に基づく診療が行われた場合に、5項目を限度として、検体検査実施料に10点が加算されるものです。これによりEBMの促進が 図られ、当日に検査結果を説明することより、検査結果を聞くためにだけ再来する再診料が削減されるといわれています。
 当院では昨年(平成22年)9月から自動算定システムを導入しました。検査部の取り組みと効果、問題点についてご報告します。

1.導入効果(算定件数と増収額)

 平成21年度の算定件数(医療情報部の集計)は年間23,107件で、一昨年度までは保険点数1件5点でしたので年間収入額は1,155,350円でした。昨年(平成22年度)は保険点数が1件当たり10点に倍増し、4月に病院長名で算定促進されたこともあり、算定件数は増加しましたが、4月~8月の月平均算定件数は3万件数程度です。9月に自動算定システムを稼働させてからは月平均10万件を超しています。この結果、昨年度の収入額予測は年度途中からの導入だったために約900万円ですが、その前年度に比べれば約9倍となっております。このまま経過すれば、今年度は1,320万円の収入になると予測され、平成21年度の10倍以上となります(下表と図参照)。特にこの加算は外来診療にかかわるものであり、DPCに関係なく実質の増収です。 

下表

(医療情報部の集計)

 

図

2. 検査部の取り組み

  1. 診療科別に算定人数に差があることから、10月からは採血室入口に「検査結果をもらって帰りましょう」との採血患者さん向けの案内を掲げました。
  2. 外来採血に迅速凝固タイプの採血管を採用しました。これにより、採血から測定までの時間を短縮して更なる迅速報告を図りました。(2月下旬より実施、集計の結果報告時間が約10分短縮されました)
  3. 測定に時間のかかる血液沈降速度検査については、2時間値を省き、1時間値のみで検査完了にしました。
  4. 本システムの開発と同時に患者さんに見やすいように報告書のフォーマットを変更しました。この3月25日以降はさらに改修した報告書を出しております。

3.問題点

 診療日別の算定数を見ますと、土日祝日に多くの患者さんが救急外来を受診されていますが、時間外に診療された場合ほとんど請求されていません。緊急処置が多く困難とは思いますが、できるだけ検査結果を印刷して患者さんへ渡すように徹底頂ければさらに増収になると考えられます。病院全体として取り組んでいただきますよう、お願いいたします。