心臓血管外科では下腿の血行再建術を積極的に行っています

公開日 2010年01月02日

(平成22年1月:最新治療) 

心臓血管外科 花田 智樹 ・ 織田 禎二

  下肢閉塞性動脈硬化症の治療法にバイパス手術があります。多くは大腿―膝窩動脈バイパス術など膝関節周囲の動脈へのバイパス術ですが、重症の患者さんでは、より末梢の動脈へのバイパス術が必要となります。しかし、下腿の血行再建術はあまり認知されておらず、血行再建術の適応があるにもかかわらず、重症の下肢虚血に対して疼痛コントロールや下肢の切断が行われることもありました。下腿の動脈へのバイパス術が通常の下肢バイパス術と異なる点は、グラフトとして人工血管の代わりに、大伏在静脈を使用することです。下腿の血管は細いため、グラフトが閉塞しやす くなっていますが、大伏在静脈を使用することで、開存性を高めることができます。下肢切断は日常的QOLを著しく低下させ、生への意欲も喪失させるため、救肢は社会的及び医学的に急務となっています。下肢切断の回避のため、今後も下腿の血行再建術を積極的に行っていきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

足関節部後脛

 

 

骨動脈へのバイパス術後の3DCT閉塞性動脈硬化症の患者さんに行った足関節部後脛骨動脈へのバイパス術後の3DCT(矢印:大伏在静脈グラフト)