骨盤臓器脱に対して新たな手術を始めました

公開日 2007年10月01日

(平成19年10月:最新治療) 

泌尿器科 井川 幹夫、本田 聡

 

  骨盤臓器脱は翻転した膣壁とともに骨盤内臓器が脱出する状態で、出産を経験した比較的高齢の女性に多い疾患です。骨盤底の筋肉や靭帯の緩みがその原因です。脱出部位の位置によって尿道瘤、膀胱瘤、子宮脱、小腸瘤、直腸瘤に分類されます。それぞれが単独で脱出することもありますが、多くの場合は、複数の臓器が脱出してきます。症状は、膣を中心とした局所の不快感、排尿困難、過活動膀胱による瀕尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、排便困難などです。
 根治的治療は手術ですが、従来の縫縮手術では20-30%以上の再発率が報告されています。術後の再発を回避するために、2000年にフランスの産婦人科医によりポリプロピレン製のメッシュを膣と膀胱、または直腸との間に挿入する手術法が始められました。この方法はTVM(Tension-free Vaginal Mesh)手術と呼ばれ、緊張のない状態で既述のスペースにメッシュを置き、腹圧など力が加わっても膣壁が下がらないようにするもので、右図のハンモックを連想していただければ、手術の概念を理解しやすいと思います。日本では、2005年からこの手術が始められ、当院では9月にこの手術の第一人者である昭和大学島田教授の指導の下、第1例目、2例目を行い、2例とも術後経過は良好です。骨盤臓器脱に悩む患者さんは比較的多いと推測されますので、産科、婦人科と協力して、術後の再発率を低く、侵襲度が低いTVM手術の普及を図りたいと考えています。