加齢黄斑変性に対する光線力学療法

公開日 2006年11月01日

(平成18年11月:最新治療) 

眼科 教授 大平 明弘 

 はじめに 
 当院眼科で加齢黄斑変性に対する新治療が配備される運びになりました。この病気に対する治療方法はこれまでに多数試みられて来ましたが、島根県では初めて光線力学療法による治療が可能になります。11月を目処に当院眼科での開始に向けて準備を進めています。  

加齢黄斑変性とは
 本症の前駆期では視力低下の自覚はありません。一旦、黄斑が障害されると急激な視力低下、変視症や中心暗点を訴えるようになります。ものを見る中心が見えないため(中心暗点)、とても厄介な病気です。


光線力学療法
 従来のレーザー治療では中心窩を障害するため、視力の回復は極めて困難でした。光線力学療法は2003年5月より厚生労働省の認可を得て,我が国でも「加齢黄斑変性」に対する治療法として,注目を浴びています。すでに海外では70カ国以上で実施されています。欧米の成績では視力低下の程度が少ないと報告されました。また我が国での臨床試験では欧米に比べて視力予後が良いという結果が出ています。 
 光感受性薬剤を腕静脈から点滴注射し、およそ15分後から弱いレーザー光線を照射し始めます。光で一重項酸素などの活性酸素が作られ、血管は閉塞します。 
新生血管が無くなれば、病気の進行は止まり、視力が維持あるいは改善されることがあります。ただし、この治療方法は根治療法ではありません。3ヶ月毎に視力検査、眼底検査、蛍光眼底造影検査などを行い、必要に応じて、再治療が必要になります。日本での臨床試験では1年間に平均2.8回の治療が行われたと報告されています。治療後、逆に視力が低下する人もいます。治療後は強い光に当たると皮膚にやけどを来す可能性がありますので、治療後2日間の入院が必要です。退院後もサングラス、帽子、長袖シャツやズボンが必要です。3ヶ月毎の定期検査が必要になります。