公開日 2007年04月02日
(平成19年04月:最新治療)
小児科 山口 清次
本学小児科で進めている全国規模の研究を紹介します。生まれつきの病気を持っていることを知らずに放置すると数週間から数ヶ月後から障害の出てくるような病気を、赤ちゃんのときに見つけて治療を開始し、障害を予防しようという事業です。日本では「ガスリーテスト」として昭和52年から始まりました。
これまでに8,000人以上の子どもたちが障害から救われたといわれています。数年前から「ガスリーテスト」にかわって「タンデムマス法」という検査技術が開発されました。タンデムマスを導入すれば、対象疾患が現在の6疾患から20種類以上に拡大され、より多くの子どもたちが救われます。わが国でも平成16年より厚労省研究班(班長 島根大学小児科 山口清次)で検討されはじめました。
研究班では、島根大学を含む全国5カ所でパイロットスタディーをしています。島根大学では、年間25,000人以上の赤ちゃんを検査しています。米国などで「タンデムマス法の検査を受けさせてくれなかった」という訴訟も起こりはじめているので、近い将来わが国でも導入されると思われます。
タンデムマスではデータ解釈に専門性を要します。スケールメリットの面からも、全国都道府県で一律に行うのは難しく検査施設が集約化されると思われます。将来は、新生児のみならず「赤ちゃんからお年寄りまで」を対象とした疾病予知予防研究の拠点を島根大学に作り、全国に情報発信してゆきたいと思います。