山陰初 腹腔鏡下子宮頸癌手術の導入について【5/14記者会見】

公開日 2015年05月15日

 近年、若年の子宮頸癌が急増しています。子宮頸癌に対しては従来、広汎子宮全摘術という術式が広く行われてきました。これは子宮と周囲の組織を幅広く摘出する手術であり、お腹を臍の上まで切る必要があります。また、術後も排尿障害、腸閉塞やリンパ浮腫などの合併症が多く、輸血も必要で、患者様への負担が極めて大きいという問題がありました。

 今回当院において導入された腹腔鏡下子宮頸癌手術は、開腹せず、小さな傷だけで子宮頸がんを切除します。利点は、(1)下腹部の傷が小さい(1-2cmが数個)、(2)術後合併症がほとんどない、(3)極めて低侵襲であるため、早期退院ができる(早ければ数日)、などが挙げられます。

 上記のような利点が挙げられる反面、この手術は執刀医の高い技量が求められ、ようやく昨年の12月に先進医療扱いとなったところです。

 当院産科婦人科では、開腹の広汎子宮全摘術約300例と、腹腔鏡下手術約400例の執刀経験を有する京 哲(きょう さとる)教授が昨年赴任し、腹腔鏡下広汎子宮全摘術が可能な技術レベルに達したことから、島根大学倫理委員会の承認を得て、山陰地区で初めてこの手術を行い、成功しました。患者様は術後の合併症もなく、約1週間で退院されました。開腹術と比較して術後の回復は顕著で、患者様も驚かれています。当日、京 哲 教授(産科婦人科)らが記者会見を行い、「患者さんの体の負担が少ない最先端の手術を、島根県で提供していきたい。」と述べました。

 

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向かって左より

中山 健太郎(なかやま けんたろう)講師、井川 幹夫(いがわ みきお)病院長、京 哲(きょう さとる)教授