前立腺がんに対する島根県唯一の密封小線源治療装置が新しくなりました

公開日 2016年12月21日

放射線治療科    科長   猪俣 泰典 (いのまた たいすけ)

 前立腺がんに対する放射線治療は大きく分けて外部照射(IMRT)と密封小線源治療があります。密封小線源治療は針を前立腺内に挿入した後に(1)一時的にイリジウム192 を前立腺内に送り込んで照射する方法と、(2)ヨード125が封入されたシードを永久に前立腺内に留置する方法があります。今回、更新されたのは(2)の方法を行うための装置で、島根県内唯一となります。
 シードを前立腺内に留置するとシードから少しずつ放射線が出て前立腺に照射されます。周囲の人への被ばくは心配ありません。この治療法の最大の利点は治療期間が短いことで、通常は2泊3日の入院で完了します。シード治療に最も適した患者さんは「低リスク群と中リスク群の一部」の方です。シードの必要数はあらかじめプレプランを行って決めています。通常は70-80 個程度を刺入します。
 今回更新された装置によりこれまでシードをひとつひとつ独立して留置していた従来法(図1左)からシードを連結してひとつの針状のものとして留置するリンクシード法が出来るようになりました(図1右)。連結に用いる素材は刺入後5-6カ月で吸収・消失します。この方法の利点はシードの留置後にシードが動いて前立腺より離れた部位に移動すること(migration)を防げることです。そのためにこれまでは前立腺外に留置できなかったシードを前立腺外にも留置することが出来ます。これによりがんが精嚢や前立腺の被膜外に及んでいる可能性のある患者さんにも行うことが可能となりました(図2)。

HP_前立腺がんに対する密封小線源治療.jpg

 

  

 

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