「閉塞性動脈硬化症」に対する新しい治療を始めました(放射線科)

公開日 2021年12月23日

骨盤部腸骨動脈の狭窄・閉塞に対する血管内治療(Endovascular Treatment:EVT)

本邦初のカバードステント(バイアバーンVBX)について  
 

 閉塞性動脈硬化症は、腸骨動脈が狭窄・閉塞した状態で、一定距離を歩くとふくらはぎなどの筋肉が痛くなったり、疼痛、皮膚潰瘍などの症状が生じます。薬物療法や運動療法が無効な場合、血管内治療(狭窄・閉塞した動脈を拡げるカテーテル治療)、あるいは外科的バイパス術が適応となります。
 これまでの血管内治療には、バルーン(風船)とベアメタルステント(網状の筒)を用いるステント留置術がありましたが、適切な大きさのバルーンとベアメタルステントで血管拡張を行っても、複雑病変では血管破綻(血管が破れる)のリスクがありました。また、血管破綻を懸念し、十分に血管拡張できないことがありました。
 2018 年に登場したバイアバーンVBX(ゴア社)は、閉塞性動脈硬化症に適応した本邦初のカバードステント(膜で覆われた筒:図1)であり、血管内治療で血管破綻が生じたとしてもステント自体の壁により止血することができ、高い安全性があります。血管拡張を十分に行うことができるので血管内腔開存率の改善も期待できます。この最新の医療器具は保険診療の対象です。
 なお、当院の放射線科での実際の治療は内容を患者さんに説明した上で、より良い方法を選択しております。


      図1 バイアバーンVBX(ゴア社)
 

<カバードステント(バイアバーンVBX)を用いて治療した患者さんの画像>
   
 図2 治療前(⇒閉塞した血管)     図3 治療後(→ステント留置部)


◆問い合わせ先
放射線医学講座 医局 
電話:0853-20-2289