下肢静脈瘤血管内塞栓術を開始しました(下肢血管治療センター)

公開日 2022年02月07日

 2019年12月に「下肢静脈瘤血管内塞栓術」が保険適用となり、当院下肢血管治療センターでは、2021年4月より皮膚科外来での下肢静脈瘤診療を開始しました。
 下肢静脈瘤は足の血管が膨れてこぶのようになる病気です。これまで下肢静脈瘤の治療には、弁不全を起こしている静脈を引き抜く「ストリッピング術」や、静脈を部分的に切除し断端を縛って血液の逆流を止める「高位結紮(こういけっさつ)術」が行われてきました。2011年にはカテーテル焼灼術を利用した「下肢静脈瘤血管内焼灼術」が保険収載され、局所麻酔で体への負担が少ない治療が短時間でできるようになりましたが、その一方で、一部の症例で血管周囲組織である皮膚や末梢神経の熱障害や大量の局所麻酔によって感覚が鈍くなるなどの合併症が生じることがわかってきました。
 そこで新しく導入した術式「下肢静脈瘤血管内塞栓術」は、下肢静脈瘤の原因となっている静脈内に医療用接着剤(CA系接着剤)をカテーテル注入し、血管を塞ぐ方法です(図1)。焼灼術ではレーザーや高周波などの熱を使って静脈を焼きますが、本術式では熱を使わないため、浸潤麻酔も必要ありません(図2)。
 下肢血管治療センターでは、新しい術式を導入し、下肢静脈瘤に合併する下肢疼痛、浮腫、倦怠感、こむら返りに悩む患者さんに、より安全で体に負担の少ない治療を提供しています。

CA系接着材:医療への応用は、創傷癒合や止血、胃静脈瘤や脳動静脈奇形に対する血管内治療等に広く応用されています。また、CA系接着材はつけまつ毛、つけ爪でも使用され、かぶれなどのアレルギー既往があれば治療禁忌ですが、まれです。


   

◆問い合わせ先
皮膚科外来 
電話:0853-20-2382