放射線科では、肺動静脈奇形に対する「経カテーテル塞栓術」を 行っています

公開日 2022年12月08日

 肺動静脈奇形とは肺動脈と肺静脈が毛細血管を介さないで異常吻合(ふんごう:くっついている状態)で、オスラー病(遺伝性毛細血管拡張症)との関連が深いとされています。異常な血液の流れの量を示す値であるシャント率に応じて無症状のこともあれば、労作時に呼吸困難があることもあり、奇異性脳梗塞や脳膿瘍の原因の一つにもなります。また長期的には心臓への負荷の増大による心不全の可能性もあります。
 診断には画像検査が有用で、特徴的な動静脈の形態をダイナミック造影CTで把握します。
 吻合した動脈のみの塞栓術では再発しやすいことが判明し、現在は動脈と拡張した静脈ごと塞栓する術式となり、再発率は低下しています。他の治療法としては肺部分切除術がありますが、体への負担を考慮し、現在ではまず負担が少ない「経カテーテル塞栓術」を行うことが主流となっています。
 経カテーテル塞栓術を行った症例の画像を提示します。鼠径部よりカテーテルを挿入し肺動脈まで進めます。その後、流入動脈を選択し(写真1)、バルーンで血流コントロールしながら拡張した静脈、流入動脈をコイルで塞栓しました(写真2)。この治療により異常血管への血流は消失しました。
 肺動静脈奇形と診断された場合、全例で直ちに治療が必要なわけではありません。当院では循環器内科と放射線科で相談しながら最適な治療や時期を決定しています。


  

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放射線科外来
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