危機的出血に対する輸血療法 大量輸血プロトコールを行っています

公開日 2023年01月10日

  出血性ショックなどの緊急時には、輸血前検査の結果を待たずに輸血が開始されます。このような危機的出血を伴う症例は、止血が困難になりやすく、また出血に対する治療として、大量の輸液や輸血が行われるため、より止血が困難となります。
 この止血困難を防ぐために、赤血球の輸血に加え、早い段階で新鮮凍結血漿(採血して4時間以内の全血を遠心分離して得た血漿を凍結したもの)と血小板製剤(成分採血装置を用いて血液の止血機能を持つ血小板を採取したもの)の投与が有効であるとされ、赤血球液:新鮮凍結血漿:血小板濃厚液を製剤単位あたり1:1:1の割合で投与する大量輸血プロトコール(massive transfusion protocol:MTP)が推奨されています(血液製剤の使用指針 厚生労働省・生活衛生局)。
 当院では、2021年4月より、MTP プロトコールの運用を行っております。
 MTP プロトコールは、実際に診療しているチームが危機的出血の状態で非常事態を宣言して発動されます。いつでも対応できるよう、輸血部と高度外傷センターに赤血球液と新鮮凍結血漿を常備しています。また、血小板製剤や追加の製剤を速やかに提供できるように在庫管理を行い、血液センターとの連携を行っています。また高度外傷センターとは、できるだけ効率よく緊急対応を行うことを目的としたアクションカード(緊急時に集合したスタッフの行動指標カード)を導入し、より安全に実施できるための改善を行っています。
 MTPプロトコールを含め輸血部の業務は他部署、多職種の協力があって成り立っています。適切かつ安全な輸血療法の推進のために引き続きご理解・ご協力のほどよろしくお願い致します。 


   


◆問い合わせ先

輸血部
電話:0853-20-2421