公開日 2023年07月21日
「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」は、日常生活および社会生活を営むために人工呼吸器による呼吸管理、胃ろう、導尿などの医療的ケアが不可欠な医療的ケア児の健やかな成長と家族の離職防止、安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現に寄与することを目的に、2021年6月11日に公布、同9月18日施行されました。同法律に基づき、2022年11月1日『島根県医療的ケア児支援センター』が島根大学医学部附属病院に開設され、11月28日に島根県と共に開所式を行いました。2023年3月にはセンター長に安田謙二准教授が着任し、順調に運営を進めております。センターのこれまでの主な取り組みについてご紹介いたします。
『島根県医療的ケア児支援センター』開所式の様子
(右から島根県健康福祉部次長 昌子裕氏(当時)
小児科 竹谷健 教授、医療的ケア児等コーディネーター 矢田昭子)
小児科外来の一角に設置された「島根県医療的ケア児支援センター」
医療的ケア児およびそのご家族、または支援者の相談対応
開設から2022年度3月末までの5か月間に延べ125件の相談がありました。相談者は家族が1番多く56件(45.5%)、次に相談支援専門員21件(17.1%)でした。相談内容は就学に関すること52件(41.6%)が1番多く、次に症状対応に関すること23件(18.4%)でした。これらの相談に対して、医療・保健・福祉・教育、行政等が連携した支援ができるように、関係機関の調整や支援会議に参加、他県の医療的ケア児支援センター等に相談および情報収集、家庭訪問などを行っています。相談者からは「センターは困った時の拠り所です」「家族に寄り添った声かけや行動がとても安心感を持ちました」などの感想が寄せられています。
関係機関や支援者に対しての情報提供や、支援者の知識・技術の向上を目指した研修の開催
第1回の研修は「第1回医療的ケア児とその家族の支援に関する研修」をオンラインで開催し、参加者は136名で医師、看護師、保健師、MSW、訪問看護師、相談支援専門員、教員、行政などでした。アンケート結果では約8割以上が研修全体を通して満足していると回答し、「医療的ケア児の実情が理解できた」「就学支援が理解できた」などの記述があり、医療的ケア児とその家族の実態と支援の在り方について理解につながる研修となりました。第2回の研修は看護職を対象にし、クリニカルスキルアップセンターと連携した「医療的ケア児に対応できる支援者研修」を基礎編と応用編の2日間開催しました。参加者は12名で医療シミュレータを利用し、臨場感のあるトレーニングをすることができました。アンケート結果では全員が研修全体を通して満足していると回答し、「急変時の対応が以前より自信がついた」「フィジカルアセスメントの重要性を痛感した」などの記述があり、継続的な研修の必要性を実感しました。
クリニカルスキルアップセンターでの支援者への講義の様子
子どものシミュレータを用いた心音聴取のトレーニング
今後も、島根県全域に暮らしている医療的ケア児ときょうだいを含めたご家族の希望が叶えられ、笑顔の多い暮らしが少しでもできるように、相談対応、連携した支援、支援者の知識・技術が向上できる研修などを行ってまいります。
(島根県医療的ケア児支援センター コーディネーター 矢田昭子)
お問合せ
島根県医療的ケア児支援センター
島根大学医学部附属病院・外来棟2階 小児科外来
受付時間:9時~16時 月~金(年末年始・祝日を除く)
Mail:Shimane-Childs_Care_Support@med.shimane-u.ac.jp