【研究紹介】高血圧・関連臓器障害発症に関わる遺伝子研究について

公開日 2023年09月20日

 病態病理学教室では、大原講師が中心となり、高血圧やその代表的な合併症である脳卒中などの高血圧性臓器障害の遺伝的・病態生理学的発症メカニズムの解明を目指した基礎研究に取り組んでいます。

 
 その実験対象として伝統的に用いているのが、高血圧自然発症ラット(Spontaneously hypertensive rat; SHR)、およびその脳卒中高感受性亜型である脳卒中易発症SHR( Stroke-prone SHR; SHRSP)です。
 SHR とSHRSP は、1960 ~ 1970 年代に岡本耕造・家森幸男(本学名誉教授)両博士らによって日本で開発され、遺伝性の高血圧を背景に、脳卒中・心肥大・腎硬化症を自然発症する本態性高血圧モデルとして、現在も世界的に広く用いられています。
 

 私たちは、遺伝的連鎖解析をベースに、SHRSP の脳卒中感受性に関わる遺伝子座などを明らかにしてきましたが、ヒトと同様、高血圧のような多因子疾患の原因遺伝子を同定することは容易でなく、どの遺伝子のどのような機能的異常が高血圧や関連臓器障害の発症に関わるのかはまだ分かっていません。
 

 現在は、これまでの遺伝学的アプローチにより得られた知見を踏まえながら、興味のある遺伝子をゲノム編集技術で破壊したノックアウトSHR/SHRSP を作製し、個々の遺伝子機能の高血圧性疾患への関与を解明することも試みています。SHR やSHRSP の病態解明が、将来ヒト医療に貢献することを期待しながら日々研究を行っています。

 

脳卒中易発症高血圧自然発症ラット
脳卒中易発症高血圧自然発症ラット

 

お問い合わせ先:病理学講座病態病理学 TEL:0853-20-2137(事務室)