公開日 2023年09月22日
陣痛は、赤ちゃんが外に出ようとするときに子宮の出口や腟が引き伸ばされて生じる痛みです。お産の痛みとどのように向き合うのかは人それぞれですが、痛みを伴わないお産を望む妊婦さんや、様々な妊娠合併症のために痛みを避けなければならない妊婦さんもいます。当院では、このような分娩時の選択肢を広げるために無痛分娩(和痛分娩)を取り入れています。
2020 年の報告では、日本の分娩取扱施設の無痛分娩実施率は約25%で、全分娩の9%の患者さんに行われており、2016 年の6%に比べ増加傾向にあります。欧米では6~8割の妊婦さんに無痛分娩が実施されている国もあり、日本に比べると一般的に行われています。
当院では、心疾患合併妊娠や脳神経血管障害合併妊娠など、分娩時のいきみや血圧上昇を避けた方がよいなどと判断される妊婦さんに対して無痛分娩を行ってきましたが、2015 年からはそれ以外の希望する妊婦さんにも行うようになり、希望者は増加傾向にあります。(図1)
当院で行う無痛分娩は、「硬膜外鎮痛法」といわれる下半身の痛みを取る方法で、一定の研修を受けた産婦人科医か麻酔科医が担当しています。
2017 年に厚生労働省がまとめた母体死亡調査の中で、母体死亡298 例のうち13 例が無痛分娩を行っていたとの報告があり、十分な安全管理体制のもとで実施されることが重要です。当院は2018年に発足した無痛分娩関連学会・団体連絡協議会の認定施設であり、また当院は産科、小児科、麻酔科、高度外傷センターの医師が常時院内におり、安全に無痛分娩が行える体制を整えています。
無痛分娩のリスクや経済的な個人負担などの情報は、当科のHP にまとめておりますので、ご興味のある方はぜひ一度ご覧ください。
お問い合わせ先:産科・婦人科 TEL:0853-20-2389(外来)