公開日 2023年12月05日
強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy:IMRT)とは、高精度放射線治療の一種です。放射線を照射する過程で治療領域内の放射線の強度を調節し、腫瘍病巣に対して集中的にかつ精密に照射を行うことができる手法です。同時に、周囲の正常組織への線量を抑えることができ、放射線治療に伴う副作用を軽減することができます。
当院放射線治療科では、以前は前立腺癌など一部の癌腫でのみ IMRT を行っておりましたが、本年5月に新しい放射線治療機器が導入され、より多くの疾患に対してIMRTが実施できるようになりました。
写真1は食道癌に対する IMRT の線量分布図です。食道癌では脊髄が病巣の近傍に位置しており、脊髄の線量低減が重要となります。IMRT の技術を用いることで、脊髄をうまく避けつつ、病巣に必要な照射線量を投与できます。
また、写真2は悪性脳腫瘍に対する IMRT の線量分布図です。脳幹は一定線量以上の放射線が照射されると脳幹障害のリスクが高まります。IMRT によって、脳幹への照射を適切に避けて線量低減を図りながら、病巣に対しては充分な照射線量を投与することができます。
IMRT は、病巣に充分な線量を投与し、かつ正常臓器への線量を低減できる非常に重要な放射線治療技術です。今後ますます普及し、将来の放射線治療の標準的な照射手法になると考えられます。
当科では、これからも IMRT の積極的な拡充に取り組んでまいります。
IMRT の適応に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
【お問い合わせ】放射線治療科 TEL:0853-20-2582