認知症新薬「レカネマブ」保険適応のお知らせ

公開日 2024年02月20日

 アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症の進行抑制を目的として、2023 年12月下旬に新薬「レカネマブ」が保険適応となりました。本薬剤は、アルツハイマー型認知症の原因といわれている物質「アミロイドβ」に結合し、初期の認知症の進行を遅らせる効果が確認されています。

 

 当院の認知症疾患医療センターでは、患者さんが本薬剤の対象となるかの鑑別診断を慎重に行っています。はじめに認知症診断で広く用いられている「長谷川式認知症スケール」によるチェックを行い、アルツハイマー型の認知機能障害が疑われる場合は、詳細な認知機能検査、頭部MRI検査、脳血流検査、PET検査または髄液検査によるアミロイドβ沈着の評価などを行い、本薬剤の対象になるかを判断します。実際に対象になり得る患者さんは、ごく軽度のもの忘れの方に限られ、当センターの「もの忘れ外来」を受診される患者さんの2割程度と推測しています。

 

 厚生労働省の「認知症施策推進総合戦略」によると、65歳以上の高齢者の5分の1が認知症になると予想されており、本薬剤には大きな期待が寄せられています。一方で、注射後1~2ヶ月くらいで脳が腫れたり脳に小さな出血が起こったりするといった副作用の可能性があるため、安全に使用するためには細心の注意が必要な薬剤です。また、2週間に1回の点滴治療を18ヶ月間連続行わなければならず、通院の負担が非常に大きな治療となります。

 

 今後も当センターでは、もの忘れが気になる方の鑑別診断や診療を継続するとともに、レカネマブ治療対象の患者さんには十分な情報提供を行いながら加療を行ってまいります。相談対応も行っておりますので、気になる方はお気軽にご相談ください。

 

 

脳イメージ  

 

 
【お問い合わせ】基幹型認知症疾患医療センター TEL:0853-20-2630