公開日 2025年01月06日
約1年前に発売された軽度アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」は、現在までに当院で約30例に投与されています。当初は副作用が懸念されていましたが、今のところいずれの症例も安全に治療を継続できており、治療経験も全国的に蓄積されてきています。
しかしながら、レカネマブは2週間に1度の通院を最低1年半継続する必要があり、患者さんの通院および金銭的な負担が大変大きいのが現状です。
この度登場した新薬「ドナネマブ」は、アルツハイマー病の原因とされる脳内のアミロイドβのかたまりを除去する点においてはレカネマブと同じですが、除去するかたまりの大きさに違いがあります。また、いずれも認知症の進行を遅らせる効果がありますが、ドナネマブは月1回の点滴を最短1年で完了できるため、患者さんの通院負担を大きく減らすことが期待されます。当院では、2024年12月24日から中国地方の病院で初めてドナネマブの投与を開始しました。
アルツハイマー型の軽度認知障害、軽度認知症になる方がそれぞれ600 万人に到達するといわれる高齢化社会において、症状が軽度の方への治療が今後さらに一般化していくことが予想されます。当センターでは、もの忘れが気になる方の鑑別診断や診療を継続するとともに、レカネマブやドナネマブ治療対象の患者さんに対し、十分な情報提供を行いながら加療を行ってまいります。相談対応も行っておりますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
参考:認知症新薬「レカネマブ」保険適用のお知らせ(2024年2月20日)
レカネマブ専門外来(MCI外来)開設のお知らせ(2024年3月21日)
【お問い合わせ】基幹型認知症疾患医療センター TEL:0853-20-2630