公開日 2025年07月08日
心臓には4つの弁がありますが、そのうちの一つである「大動脈弁」が硬くなり開きにくくなることで起こる「大動脈弁狭窄症」は、高齢化に伴い近年増加しており、ここ島根でも例外ではありません。
当院では、心臓血管外科・循環器内科を中心としたハートチームで、カテーテルによる低侵襲な人工弁植え込み術「TAVI(タビ)」を2018年4月から実施しています。TAVIが適応とならない方に対しては、これまでは硬くなった大動脈弁を切除し人工弁を縫い付ける、従来の「人工弁置換術」しか治療法がありませんでした。
この人工弁置換術とTAVIの利点を組み合わせた、「スーチャレス弁」を用いた新たな治療法が開発され、当院でも導入を開始しました。スーチャレス弁とは、「スーチャ(Suture=縫う)」+「レス(less=不要)」、すなわち縫う必要のない弁を指し、硬くなった大動脈弁を切除した後、ステントの力を利用してこの弁を固定する治療法です。縫合にかかる時間を短縮できることが最大の利点で、開胸手術にはなりますが、別の手術を同時に行う必要がある症例や、大動脈弁が小さい方、さらにはTAVIの適応とならない透析患者さんなどに対して、大変有効な治療法となります。
当院では、Corcym社の「パーシバル(Perceval®)」というスーチャレス弁を用いて良好な成績を重ね、心臓血管外科の今井健介助教が本治療に関する専門資格を取得しています。
今後も、一人ひとりの患者さんに合わせた、より安全で確実な治療を提供してまいります。
【お問い合わせ】外科外来 TEL:0853-20-2384