公開日 2025年10月14日
病気とお口の健康が密接に関係していることをご存じでしょうか。
特に、手術前から手術後(周術期)や入院中の患者さんは、口腔内の細菌に対する抵抗力が低下し、術後の合併症や誤嚥性肺炎などを発症するリスクが高まることが知られています。
当院では、2019年に「口腔ケアセンター」を開設し、主に入院患者さんを対象に口腔ケアとサポートを行ってきました。対象の各診療科に加え、緩和ケアセンター、高度脳卒中センター、集中治療室(ICU)に入院されているすべての患者さんに対して口腔ケアを実施しています。
2025年1月からは麻酔科外来の中に口腔ケア専用の診察室を設置し、手術前の外来患者さんにも口腔ケアをしっかりと提供できるようになりました。また、全身麻酔後に嚥下障害(うまく飲み込めない障害)が起こりやすくなることから、2025年4月からは全身麻酔で手術を受けられるすべての患者さん全員に対し、窒息・誤嚥予防のための「嚥下スクリーニング(飲み込み機能のチェック)」を行う体制も整えました。2024年の延べ総受診者数は12,614 件(手術関連:8,345 件、手術以外のがん治療関連:4,269 件)にのぼり、口腔環境を整えることで、全身の治療に大きく貢献しています。
また、口腔ケアセンターおよび歯科口腔外科学講座では、関連機関や講座と連携し、口腔と全身の健康の関連に関する研究も推進しています。例えば、口腔の状態や機能が、寿命や介護必要度・骨密度・血糖値や塩分摂取量と深く関連することなどを明らかにしてきました。
こうした研究で得られた知見を日々の診療に活かし、今後も口腔ケアを通じて、地域の皆さまに安全・安心で質の高い医療を提供できるよう努めてまいります。
口腔ケアの様子
【お問い合わせ】口腔ケアセンター TEL:0853-20-2301