島根大学医学部附属病院

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秋冬の子どもの体調不良〜風邪

子どもはいつ体調を崩すか予測できないもの。特にこれからの季節は風邪が流行りやすくなり、親は毎日ハラハラ……。 子育て中の医師に症状の見方や受診の目安などを聞きました。また、子育て仲間である院内スタッフにも経験談や子育ての“あるある”を話してもらいました。

 

発熱について

秋から冬にかけて気温が下がってくると、衣服の調節が難しくなります。朝、肌寒いからと子どもに厚手の長袖を着せたところ、日中に保育園で過ごしていたら暑くなり半袖に。そして夕方お迎えに行く頃にはまた寒くなり、体が冷えて……。秋冬はそんな季節のため、子どもは体調を崩しやすくなります。

急に高熱が出ると「重篤な状態になってしまうかも」と心配になりますよね。特に夜中や早朝だと、救急外来に行くべきか、かかりつけの小児科が開院するまで待つか悩むことも多いと思いますが、子どもに熱が39度ぐらいあっても、いつも通り遊んだり動き回っている様子があれば、しばらく様子見で大丈夫です。ひどくぐったりしていたり、痙攣(けいれん)を起こしていたりなど、いつもと明らかに様子が違うときは、すぐに病院を受診しましょう。

 

小児に起こりやすい

熱性痙攣(ねつせいけいれん)

高熱による熱性痙攣は5歳ぐらいまでの時期に起こりやすい症状です。実際に目にすると親はびっくりして慌ててしまうもの。ほんの数分であっても長く感じられます。すぐに収まることがほとんどですが、痙攣が落ち着いてから、かかりつけの小児科で診てもらってください。

 

【近藤さん】
うちは子どもの具合が悪い時、気をもむのが嫌なので、迷うぐらいなら夜間でも救急外来に連れて行っています。でも、病院の待合で待ってる間に元気になったことが結構あって…。なんだか先生に申し訳なかったです。
 
 
【堀田先生】
よくある!小さい子どもってそういうものなので、保護者の方は気に病まないでほしいです。

 

POINT

夜中に熱が出たら心配が募りますが、保護者は自分のことを考える時間も必要です。坐薬の解熱剤を入れたりして症状を落ち着かせ、その間に次の日以降の予定を考えるといいかも。仕事をどうするか、誰に子どもを預けるか、病児保育を利用するか……。

 

鼻水について

代表的な風邪の症状といえば鼻水。「しょっちゅう垂らしているからいちいち病院に行かなくても……」「熱が出ていなければ大丈夫でしょう」と放っておくことも“あるある”かもしれません。

鼻水を垂らしているときに気を付けてほしいのが中耳炎。鼻と耳は繋がっています。子どもはまだ頭が小さいため鼻と耳の距離が近く、鼻水が溜まるとすぐに中耳炎になってしまいます。風邪の熱が下がりにくいと思っていたら中耳炎になっていたというケースは少なくありません。中耳炎は痛みが強く、膿が増えて溜まりすぎると鼓膜が破れます。悪化すると難聴の原因になることも。注意して様子を見てあげましょう。

小児ではあまり多くありまんが、秋口からはイネ科植物などのアレルギーが出てくることもあります。大人の花粉症と似ていて、主な症状として鼻水とともに、くしゃみも出ます。

 

風邪?アレルギー?鼻水を参考に

■感染症

白・黄・青など
質感 どろっとして粘度がある

■アレルギー

色質感 無色透
質感 サラサラ、水っぽい

 

【近藤さん】
子どもが保育園などでもらってくる病気、気を付けていても家族にうつりがちですよね!
 
 
【堀田先生】
子どもから大人にうつる病気ってなぜかものすごくきついですよね(笑)。私は家庭内感染の風邪で中耳炎になり、夜中に鼓膜が破れたことが……。耳の中で何かが破れる感覚がして、溜まった膿がどろっと流れ出してきました。
【近藤さん】
熱が出ていなくても、鼻水や咳など風邪の症状があればなるべく早く症状をおさめたい!親は仕事に行かないといけないし、ほかのきょうだいにうつると大変。なので、つい病院に行って薬をもらっています。
 
 
【堀田先生】
家庭内感染を防ぐためにも、子どもの風邪は早く治してあげたいですね!

 

POINT

2、3歳ごろまでの鼻を自分でうまくかめないうちは、赤ちゃん用の鼻吸い器の活用を。鼻水が出ることはウイルスを排出するはたらきでもあります。 こまめに取ってあげると中耳炎の予防になるだけでなく、風邪が治りやすくなるというメリットもあります。

 

【耳鼻科という選択】

小児の風邪は耳鼻科でも診てもらえます。鼓膜の状態なども専門的な視点で診てくれ、中耳炎や副鼻腔炎の早期治療にもつながりますよ。また、耳垢取りのための受診もOK。耳垢は耳の病気の原因になります。学校や習い事でプールが始まる前に除去しておきましょう。

 

【心も風邪を引きやすいシーズン】

秋は運動会や発表会など行事が増え、日々の環境の変化が大きいため、気持ちの浮き沈みが激しくなる子も出てきます。日照時間が短くなりますし、山陰は晴れ間が少なくなっていくことも落ち込みの原因に。登園・通学が辛くなったり、気持ちが塞いでいたり、不安定な様子が見られたら、しっかり寄り添って話を聞いてあげましょう。

 

答えてもらったみなさん

医学部地域医療支援学講座 助教
堀田 優希江
耳鼻科医。小3・小1・保育園年少の3児を育てる。
医学部会計課・経営支援担当
近藤 沙織
小4・小1・保育園年長の3児を育てる。堀田先生とは第二子が同学年で、院内保育園でのママ仲間でもあります。

しろうさぎ74号より(2023年10月発行)

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