「野菜を食べてくれない」「好きなものばかり食べる」 子どもの偏食に悩む親は多いもの。でも無理に食べさせようとすると逆効果になることも。大切なのは、焦らず楽しく食に触れること。今回は偏食の原因や改善のヒント、食育の工夫についてご紹介します。
子どもの好き嫌いが出始めるのは、自分で食べ物を認識し、「好きなものを食べたい」という欲求や自我が芽生える3歳前後とされています。偏食と好き嫌いの見極めは難しいですが、違いとしては次のような定義があります。
単なる好き嫌いであれば問題ありませんが、偏食が続くと成長障害のリスクが高まります。体重が増えにくくなり、重度の場合は身長の伸びにも影響を及ぼすことがあります。また、カルシウム不足による骨の弱体化や、鉄不足による貧血のリスクが高まるほか、偏った食生活が肥満を招き、生活習慣病につながる可能性もあります。
母子手帳の成長曲線で身長と体重のバランスが取れ、20品目以上の食品を食べられている場合は、偏食とは考えません。しかし、2歳以降で摂取食品の種類が20品目以下の場合、鉄・亜鉛・ビタミンA・B1・C・Dの欠乏リスクが高まるため注意が必要です。
偏食を改善するには、まず食べられない理由を見つけ、その原因に合わせた適切なアプローチをすることが大切です。その上で、子どもの年齢や状態に応じて調理法や環境などを工夫して、食べられるものを少しずつ増やしていきましょう。例えば、一緒に食材を選ぶ、ホットプレートでお好み焼きを作るなど、食事を楽しい時間と感じられる環境づくりが効果的です。「食べさせなければ」と焦らず、「いつか食べられるようになればいい」という気持ちで見守ることが大切です。
偏食が続いたり、成長に不安がある場合は、かかりつけの小児科や栄養士に相談しましょう。
まずは食べられない原因を見つけて!
食べる時間と食べない時間を決めましょう。常に好きなものを食べられる環境だと、空腹や満腹といった感覚が鈍ることも。
子どもは、就学前頃までは一つのことにしか集中できないといわれます。テレビや動画を見ながらだと食事の味を感じにくかったり、時間がかかることがあります。食事中は見ないとルールを決め、「食べ終わったら見よう」と勧めてみましょう。おやつは適量なら問題ありませんが、砂糖や脂質の過剰摂取につながることもあるため、量や頻度をコントロールしましょう。
生野菜が苦手でも、ハンバーグやカレー、ミートソースなどに入った野菜を食べていれば問題ありません。ただし、食後に「実は入ってたよ」と伝えると、子どもが騙されたと感じることも。事前に「入っているけど、一口食べてみようか」と促し、食べられたら「すごいね!」と褒めて成功体験につなげるといいでしょう。
子どもが「料理がしたい」と言った時はできるだけ挑戦させます。キュウリを切るだけでもOK。家族で「おいしいね」と食べることで食への興味が深まります。危ない作業は手を貸しますが、多少は目をつぶって見守ります。
しろうさぎ80号より(2025年4月発行)