センター長 狩野 賢二 講師
15部屋の実習室と94種類の医療シミュレータを保有する医学教育施設です。
普段は見たり触ったりすることができないものや危険な状態を模擬的に再現するシミュレータは、人命に関わる仕事の訓練には欠くことのできない存在です。医学教育においても、知識とともに技術の習得が不可欠であることは言うまでもないことです。島根大学医学部のクリニカルスキルアップセンターでは、医学科および看護学科の病院実習の一環として、聴診、採血などの医療手技や患者急変対応などを学びます。また、島根県内の病院で働く医療者を対象としたセミナーを企画して、島根県内の医療従事者の卒後教育にも貢献しています。
島根大学医学部に2011年4月から開設した医学科専攻修士課程の「医療シミュレータ教育指導者養成コース」があります。近年、医療シミュレータの必要性が高まり、多くの大学や病院などでスキルスラボのような医療技術研修部門が設置されるようになりました。しかし、病院では医師不足、看護師不足の現実があり医療シミュレータを使用した教育を行う医療者を確保するのは非常に困難です。また医療シミュレータは人体の一部、若しくは疾患の一部を模擬化したものであり、医療知識のみならず装置の原理や構造を理解したうえで、効果的な指導を実践することが重要です。そのために医療シミュレータを使用して教育を行う専門の指導者を養成する必要があります。2022 年3月までに医療シミュレータ教育指導者養成コースを卒業した医学修士が21 名になりました。今後、島根県内および日本各地でシミュレーション教育が円滑に行われ教育効果の上昇が期待されます。