診療科長 坂本 達則 教授
感覚器(耳・鼻・口腔)と機能臓器(咽頭・喉頭・甲状腺・唾液腺)を専門的に扱っています。
生活の質(QOL)に直結する臓器の疾患に対して、機能改善・機能維持を積極的に目指します。
中耳疾患(伝音難聴):
慢性中耳炎・耳硬化症・耳小骨奇形のような伝音難聴をきたす疾患に対しては、聴力改善を目指した手術を積極的に行っています。手術困難な症例に対しても、埋込型骨導補聴器のような新しいデバイスを導入し、良好な成績です。
高度感音難聴:
乳幼児から高齢者まで、高度な感音難聴の症例に対して人工内耳埋込術を行っています。特に、新生児聴覚スクリーニングでRefer になった新生児には、人工内耳による言語獲得を目指して早期の手術を行います。
めまい:
平衡機能検査で十分な評価と診断を行って対応しています。治療困難な症例に対するバーチャルリアルティを用いたリハビリテーションも導入しています。
慢性副鼻腔炎:
保存治療で改善困難な症例に対し、経鼻内視鏡を用いた手術で徹底的な副鼻腔開放を行います。全例にナビゲーションシステムを用いて手術の精度と教育効果を高めています。鼻内パッキングは最小限にとどめ、術後の苦痛を軽減しています。
鼻中隔弯曲症・鼻閉:
鼻中隔弯曲症などの鼻腔形態異常による鼻閉症に対して、手術による改善を行っています。経鼻内視鏡による手術を基本としますが、高度な弯曲症例には外鼻形成も取り入れています。
鼻副鼻腔腫瘍・前頭蓋底腫瘍:
経鼻内視鏡を活用し、低侵襲に十分な範囲の腫瘍切除と再建を行います。下垂体腫瘍に対して、脳神経外科と共同で手術を行っています。
頭頸部腫瘍:
口腔・咽頭・喉頭・甲状腺・副甲状腺・唾液腺などの良性腫瘍および悪性腫瘍に対応できます。特に甲状腺・副甲状腺については内分泌代謝内科・放射線治療科と連携し、多数の手術症例を扱っています。また、欠損による機能障害に対応するため、皮弁を用いた再建も行っています。
咽喉頭疾患:
睡眠時無呼吸、嚥下障害、音声障害等にも検査や手術を行っています。
当科で扱う領域にはQOL に直結する臓器が多く含まれています。治療にあたっては、疾患の治療という視点だけでなく、QOL の改善が得られるか、QOL を維持できるかという視点での治療選択・遂行が必要になります。患者さんごとに求めるQOL は違ってきますので、ご本人・ご家族とよくお話をして治療法を選択するように心がけています。