診療科長 織田 禎二 教授
生まれたばかりの新生児から100 歳前後の高齢者まで心臓および血管疾患の外科治療を担っています。
外科治療の利益・不利益を患者さん・ご家族と一緒に比較考量して手術の可否・術式決定を行っています。
患者さん・ご家族の希望を背負い、リスクの高い手術・コンプレックス手術にも取り組んでいます。
【診療内容】
島根県は全国有数の高齢者県であるため手術症例は高齢者中心であり、また大学病院であるため、がんや血液透析など多くの疾患を抱えるハイリスク例が多く、同時に上行大動脈高度石灰化による手術困難例、弁膜症・大動脈瘤・冠動脈疾患の複合手術などコンプレックス手術が必要になることが多いです。手術技術を磨いて手術時間短縮に心がけ、手術侵襲の軽減に努めています。
【特徴】
冠動脈バイパス術ではオフポンプ(人工心肺不使用)で両側内胸動脈と右大網動脈を用いたバイパス術を標準術式にしているため、カテーテル治療と比較して冠動脈バイパス術の弱点とされる脳合併症が発生せず、長期遠隔予後の改善が期待されます。この優れた術式は手術時間が長くなるため一般には敬遠されますが当科では技術を高め短時間で手術が可能になっています。弁膜症や大動脈瘤の手術でも同様に手術時間の短縮に努め、ハイリスク例に対するコンプレックス手術に対応しています。血管疾患では高難度手術である膝下の小動脈へのバイパスも積極的に行っています。
【診療内容】
小児心臓外科は、先天性心疾患をお持ちの、新生児から成人期に至るまでの幅広い年齢層を対象に、心臓大血管手術を行っています。山陰地方で唯一の小児心臓外科手術を実施する施設です。
【特徴】
最近のトピックとしては、昨年6 月の病院NEWS にも掲載いたしましたが、高安病による下半身血流不全の1 歳のお子さんに対する緊急手術(人工血管置換術) に成功しました。日本初、世界的にも極めて珍しい成功例であり、各種報道機関にも取り上げて頂けました。
また昨年3 月末に増改築工事が終了し、ベッド数が増加してパワーアップした新しいNICU・GCU とともに、先天性心疾患の新生児も積極的に受け入れており、昨年は過去最高の7例の新生児開心術を行い、全例救命することが出来ました。また成人先天性心疾患に対する治療適応のご相談も受け付けており、勿論、成人先天性心疾患の手術も行っています。(昨年は67 歳の方の、先天性心疾患の手術を行いました。)
さらなる情報に関しては、我々のHP(https://ped-cardiac-surg-shimane-u.jp)をご覧頂けると幸いです。