センター長 和田 耕一郎 教授
脳死・心停止下の腎提供が、当院での意思確認から提供まで、円滑に実施できるように普段から関係部署と連携し、情報を共有しています。また、親族からの生体腎移植と、脳死・心停止ドナーからの献腎移植を安全に実施するための活動をしています。
当院ではコロナ禍で腎移植を休止していましたが、腎不全医療に「待った」はない状況です。そのため、2021 年9 月から腎移植センターの活動とともに、腎移植も再開しました。
2010 年の臓器移植法改正により、ご家族の承諾による心停止および脳死下の臓器提供が可能となりました。移植医療は「人が人を助けたいと思う気持ち」で成り立っています。当センターでは、その尊いご意思の象徴である腎臓を、確実に腎移植を希望される患者さんに届けるための活動を行っています。
具体的には専門部会を毎月開催し、院内の連絡・実施体制の強化、島根大学版の腎移植マニュアルの策定、腎提供・移植のシミュレーションなどを実施しております。臓器提供と臓器移植の意思確認、腎臓の摘出と移植、その後の通院まで、献腎・生体腎移植ともに当院で円滑に進められるよう、スタッフで力を合わせて頑張って参ります。
腎移植によって免疫抑制剤が必須となりますが、レシピエントの寿命が延び、食事や水分制限が緩和され、スポーツや旅行も可能になります。また、女性では妊娠出産が、小児では身長が伸びることが期待できます。さらに腎移植1 件につき約8,400 万円の医療費削減が見込めます。親族に腎提供者がおられない方は臓器移植ネットワークに献腎登録して待機して頂きますが、生体腎移植は血液型も関係なく実施できます。多くの方にメリットの大きい腎移植を島根県で推進するため、ドナーとレシピエントの一元化した体制整備を進めます。
心停止および脳死下の臓器提供については、緊急度の高い手術として病院を挙げて対応しています。院内には20 名以上の院内ドナーコーディネーターが配置されており、臓器提供の意思表示に対応できるようにしています。臓器提供は入院中の担当医やスタッフに、腎移植に関しましてはいつでもお気軽に泌尿器科外来にお問い合わせください。