センター長 新原 寛之 講師
下肢脈管(動脈、静脈、リンパ管)の循環不全をトータルケアする目的で2019 年に設立されたセンターです。下肢循環不全により下肢の違和感を感じたり、筋肉の運動能が低下し、患者さんの歩行の自由が奪われます。患者さんの歩行能低下が脈管に起因していないか確認します。
治療適応があれば、適切に治療介入し、生活の質を改善します。
動脈、静脈、リンパ治療の各専門医にてセンターが成り立っております。毎週火曜、木曜に外来を設置し、下肢脈管の循環不全について定期的に講演会や症例検討を行います。
動脈:動脈硬化の評価を主に行います。ankle brachial pressure index(ABI)や skin perfusion pressure(SPP)、超音波エコー、造影CT、MRA などで動脈評価し虚血の原因となっている動脈を放射線科によるカテーテルや心臓血管外科によるバイパス術などで治療を行います。
静脈:主に皮膚科で治療対応します。
リンパ管:主に形成外科で治療対応致します。
下肢脈管異常がある場合は、その他の臓器にも循環障害を抱えている場合があり、必要に応じて腎臓内科、循環器内科の各専門医による介入も行います。
超高齢化社会に突入する本邦では、動脈硬化、静脈瘤などの血管異常の有病率上昇が予想されます。健康で豊かな老後を迎えられるために、下肢血管の循環不全に起因した下肢の疼痛、掻痒などの違和感、歩行能低下といった不具合が改善される必要があります。
そのため、末梢動脈疾患、下肢静脈瘤、下肢リンパ浮腫に対して各専門医が対応致します。近年の血管内治療の進歩は目覚ましく、比較的狭い狭窄範囲の末梢動脈疾患、下肢静脈瘤の治療はカテーテル治療が主な術式となっています。末梢動脈疾患の治療には、比較的短い狭窄病変にカテーテル治療の県下最大症例数の放射線科、長い閉塞病変には必要に応じてバイパス術を心臓血管外科が担当致します。下肢静脈瘤の治療は全国の大学病院でトップクラスの症例数の皮膚科で担当します。リンパ浮腫は顕微鏡下でリンパ管と静脈を吻合する形成外科が治療を担当し、山陰で最多症例数です。糖尿病、喫煙、肥満などの動脈硬化リスクや下肢静脈瘤、下肢リンパ浮腫により下肢の異常知覚や歩行能の低下を来し、QOL の低下した患者さんを外来で診察し、適切な治療をご提案致します。