部長 竹谷 健 教授
子ども、環境双方への働きかけを重視
ハイリスク、ポピュレーションアプローチの両立を目指す
診療の主な対象は、発達障害、神経症性障害(不安、緊張、パニック)、精神病性障害、摂食障害ですが、本人だけでなく子どもを取り巻く家族、環境へのアプローチも等しく重要だと考えています。その上で必要に応じて薬物療法や遊戯療法、カウンセリングなどを実施し、心理社会的要因を含めた支援を小児科、精神科協働で行っています。
一生涯のうち4人に1人が何らかの精神疾患に罹患し、思春期にはすでに5人に1人が発症しているとの報告があります。しかし多くが未治療のまま支援も行われていない状況です。そこで私たちは、診療活動だけでなく「出雲市発達アセスメント会議」を通して、医療未満事例を含めたサポートも行っています。そこでは教育・福祉・保健に関わる多職種で検討し、必要な場合には医療につながりやすく、受診の必要がなくとも児童生徒に対する具体的な支援資源を提案し、児と環境のミスマッチ改善を行っています。学校によって支援員数などリソースは様々ですが、出雲市教育委員会指導主事の参加により実効性が高い、具体的な提案が可能となりました。状態が悪化し受診が必要となった際にも、多角的な事前アセスメントが行われていることで医療の有効性を高めます。このように、疾病有無にかかわらない「生きにくさ、生活のしにくさ」の改善も目指しています。