センター長 渡部 広明 教授
1.島根県の「防ぎ得る外傷死」の減少を目指した高度な外傷診療の提供
2.外傷ドクターカーの24 時間運用による積極的病院前外傷診療の提供
3.ハイブリッドER による最先端の先進的外傷診療の提供
高度外傷センターでは、重症外傷および重症急性腹症を含む外科的救急疾患に対して24 時間体制で対応しています。特に交通事故や労災などの高エネルギー事故により発生した重症外傷患者さんに対して、迅速な初期診療と根本的治療の提供を行っています。また急性腹症などの救急外科手術にも対応しています。ハイブリッドER による最新鋭の外傷診療ユニットを使用し、搬送直後から直ちに必要な緊急手術や緊急血管内治療を実施しています。外傷ドクターカーと防災ヘリによる病院前診療を24 時間体制で行っています。病院前から外傷初期診療、手術を含む根本的治療、術後集中治療管理とシームレスでかつ迅速な診療を行っています。
高度外傷センターは、2016 年1 月に我が国ではじめて新設された医学部Acute Care Surgery 講座が中心となり、外傷学、外傷外科学、さらには救急外科の専門的診療を行う診療科です。当センターの特徴は、専門の外傷外科医が外傷診療を含む救急診療を行っているということです。全国の多くの救急医療機関が救急医を中心として初期診療を行うのに対して、外傷外科医が外傷初期診療に当たるため、外科的治療を必要とした病態の場合、直ちに緊急手術を行うことができます。生命危機のある重症外傷患者さんにおいては、救命の観点からダメージコントロール手術を積極的に行い救命率の向上に努めるとともに、外傷後の機能予後の改善にも積極的に取り組み社会復帰を目指した診療を行っています。また、当センターでは救急室内に国立大学法人の病院として初のハイブリッドER を導入し、患者搬入と同時に初期診療と並行して患者さんの移動なしに緊急CT、緊急手術、緊急血管内治療が実施できる体制を整備しています。ハイブリッドER 使用中であっても複数の重症外傷を同時に受け入れできるよう、これに隣接して外傷初療室3 床を配備しています。さらに院内体制として、重症患者搬送前に初期診療体制を準備する「トラウマ・コード」体制を構築し、患者さんの到着と同時に蘇生的手術が直ちに可能な体制を確立しています。当センターでは病院雇用の救急救命士(ホスピタル・パラメディック)を7名配置し、24 時間体制で外傷診療に特化した外傷ドクターカーを運用しています。病院前から蘇生的手術を中心とした初期蘇生、外科的集中治療を外傷外科医が専門的視点から医療提供しています。