センター長 林 健太郎 教授
脳卒中は脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血に大別されます。いずれも緊急に対処する必要がある疾患であり、tPA 静注療法といった初期対応、血栓回収療法などの脳血管内治療、脳動脈瘤クリッピング術などの外科手術、そして、リハビリテーションなどの入院治療を行います。
脳神経内科スタッフが神経所見の評価と画像診断を行い、外科的治療が必要な場合には脳神経外科スタッフが担当します。脳卒中の患者さんは後遺症がのこることも多く、入院加療ではリハビリテーション科と連携し、後遺症の回復をはかります。また、近年の脳卒中の患者さんは高齢化し、合併症を有することも増加しており、各診療科と連携し、大学病院ならではの総合的で質の高い診療を行っています。2023 年には県内の医療機関や救急隊から脳卒中ホットラインに299件のご連絡をいただきました。そして、脳梗塞190 例、脳内出血83 例、くも膜下出血18 例を診療しました。急性期脳梗塞に対する血栓回収療法は36 例でした。2021 年10 月には脳卒中ケアユニット3 床が稼働し、2022 年4 月からは6 床に増床しました。2023 年には247 名の患者さんが入室し、治療を受けられました。
1.高度脳卒中センターは2020 年9 月に新設され、全国的にも画期的な取り組みです。センターとは救急対応、高度先進医療、専門看護、リハビリテーション、教育、医療連携など包括的な医療を行うことを意味しています。
2.日本脳卒中学会の一次脳卒中センターと血栓回収療法コア施設に認定され、急性期脳梗塞に対するtPA 静注療法と血栓回収療法を積極的に進めています。
3.脳卒中担当医師が24 時間365 日院内に待機し、脳卒中の急患に対応します。脳卒中ホットラインと画像アプリケーションを駆使して迅速な治療にあたります。
4.脳神経血管内治療は専門医が4 名在籍し、全国的にみても充実した診療体制をとっています。
5.脳卒中ケアユニットで専門看護、リハビリテーション、口腔ケアなど多職種が協力して脳卒中の患者さんの回復をはかります。