診療科長 二階 哲朗 教授
患者さんに快適で安全、安心な手術を受けていただくために、周術期の全身管理を担っています。
また、ペインクリニックでは、様々な痛みを引き起こす病気の痛み治療を中心に診療を行っています。
手術麻酔では、術前外来で患者さんの全身状態や検査所見、術式などから適切なモニターを用いた最善の麻酔法を選択し、周術期の全身管理を行っています。麻酔管理は最先端のロボット手術を含む内視鏡手術、外傷、急性腹症などの緊急症例、内科の侵襲的処置、帝王切開、小児手術、移植手術など多岐に渡り、全身管理および麻酔管理を行います。また、外傷手術などの緊急手術、経カテーテル的大動脈弁植え込み術、血管内手術などの手術室以外での麻酔管理を積極的に行っています。当院は島根県における急性期病院としての役割を担うべく、24 時間体制で緊急手術に対応しています。
術後痛対策として複数の鎮痛法や鎮痛薬を組み合わせた多用式鎮痛法を用います。硬膜外鎮痛、超音波ガイド下末梢神経ブロックを積極的に取り入れ早期の離床を目指します。早期離床は術後の回復を促進します。術後も全身管理が必要とする患者さんも多くおられます。このような患者さんは手術終了後も集中治療部において全身管理を継続します。
ペインクリニックでは、慢性の痛みを引き起こす病気に対して神経ブロック療法、薬物療法、光線療法、鍼治療などから最適なものを選択し、症状の緩和を行ないます。
麻酔件数は増加しており、年間5,000 例ほどとなり、同規模の大学病院ではトップクラスです。手術の前には全患者さんに対して術前診察を受けていただきますが、特に全身状態が悪いと判断した場合は、手術前より多職種で構成される周術期管理チームが介入し、全身状態の改善を行い、その後手術にのぞんでいただきます。大きな手術、少しでも全身状態に懸念がある患者さんには術後集中治療管理を受けていただくなど、患者さんが安心して安全に手術を受けていただくためのシステムが当院には備わっていることが特徴です。麻酔科医がその中心的な役割を果たします。手術室内にある12部屋全てに脳波モニターをはじめとする最新の生体情報モニターを揃えています。各手術室の様子や生体情報は麻酔科記録室に繋がっており、麻酔責任医師が手術室全体を監視することで麻酔中の安全に寄与しています。
ペインクリニックでは、症状や身体所見から多角的に痛みの原因を診断し、薬物療法、神経ブロックなど各種の治療法を駆使し痛みを軽減させ生活の質の向上を目指します。また、神経の障害やがんなどによる治療困難な痛みでは、医師、看護師、薬剤師、理学・作業療法士など痛み診療に関わる多くのスタッフと連携して治療を行います。