センター長 長井 篤 教授
基幹型認知症疾患医療センターである当センターでは、認知症の早期診断・治療等を目的とした「もの忘れ外来」と、レカネマブ治療を目的とした「MCI外来」を行うとともに、認知症に関する相談に専門スタッフがチームを組んで対応しています。
もの忘れ外来では、問診、診察、画像検査、認知機能検査等によって、認知症の鑑別診断と、それに基づく初期対応、治療、行動心理症状への対応等を、かかりつけ医と連携しながら行っています。また、MCI外来では、長谷川式認知症スケール概ね18 点以上かつアルツハイマー型認知機能障害が疑われる患者さんをご紹介頂き、認知機能検査、頭部MRI検査、PET 検査または髄液検査などで適格性を確認の上、希望される方に2 週間に1 回の点滴治療を18 ヵ月間行います。すべて予約診療としており、もの忘れ外来は脳神経内科と精神神経科が担当し、MCI外来は脳神経内科が担当しています。患者さんの診断・治療においては、ご家族や身近な介護者の方からの情報が重要ですので、一緒に受診して頂くようお願いしております。患者さんやご家族からの相談には、面談や電話を通して適宜センタースタッフが対応しています。
外来で対応する主な疾患として、軽度認知障害、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。多くの認知症は根本的な治療方法がないのが現状ですが、その一方で認知症を早期に診断し、適切な治療やケアを行う事で、ある程度の進行予防が期待できます。鑑別診断後は、結果を踏まえた相談対応、必要に応じてかかりつけ医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、若年認知症コーディネーター等関係機関と連携も行っています。また、運転免許についても、診断書記載を含め相談対応を行います。その他の活動として、当院の職員に対し認知症の理解が進むよう、病院に勤務する職員向けの内容で認知症セミナーを定期的に開催しています。また、基幹型の認知症疾患医療センターとして、県内の医療、福祉、介護、行政等の関係者を対象に、研修会や会議を開催しています。