診療科長 林 健太郎 教授
脳神経外科の診療内容は手術だけではなく、診断・治療・手術前および手術後の治療など脳・神経疾患の診療すべてにわたります。
脳神経外科が担当する疾患は、脳血管障害・脳腫瘍・脊椎脊髄・先天奇形・てんかん・頭部外傷そのほか多岐にわたります。
<対象疾患と実施している治療>
● 脳血管障害(脳動脈瘤、脳動静脈奇形関連疾患、脳出血、脳梗塞ほか)に対し、患者さんの病状や年齢等を勘案し、「切る治療(開頭手術)」と「切らない治療(カテーテル手術)」を使い分けて治療を行っています。
● 脳および脊髄腫瘍に対しては、精密で安全な手術を行うために、手術前に3D 画像システムを用いて手術法を検討し、術中には、ナビゲーションシステムや電気生理モニタリング検査の支援のもとに手術を行っています。腫瘍の病理組織診断の確定後には、患者さんの病状に応じた治療(テーラーメード治療)を行っています。
● 機能的疾患(片側顔面痙攣、三叉神経痛、てんかん、脳疾患後の身体痙縮、本態性振戦やパーキンソン病)を原因とする不随意運動に対し、開頭手術のほか、痙縮に対してバクロフェン療法(ITB 療法)や不随意運動に対し脳深部刺激療法(DBS)を行っています。
<中央診療部門との連携>
当院には、高度脳卒中センター、高度外傷センターが設置されており、脳卒中や重症頭部外傷には、中央診療部門と連携して治療を行っています。
<インフォームド・コンセント>
脳ドックなどで無症状あるいはごく軽微な症状で、偶然脳の病気が発見される患者さんも増えています。外科治療を受けるにあたっては、十分なインフォームド・コンセントが必須です。インフォームド・コンセントとは、患者さんがご自身の病気に対する十分な説明を受け、患者さんがよく理解した上で治療を受けることですが、当診療科では患者さんの病状ごとに、しっかり時間をかけて病気や治療についての説明をすることを努めています。
<他領域専門診療科および多職種連携>
脳の病気は、身体全体に影響を与えることも少なくないために、他の専門診療科や種々の医療職の連携がトータルケアとして大切になりますので、多くの診療科が手を携えて最先端のチーム医療を提供しています。