センター長 和田 耕一郎 教授
手術支援ロボットdaVinci Xi による体腔鏡手術の安全かつ円滑な実施と、使用する診療科、手術部、臨床工学技士、事務を含むチーム力の向上をはかり、地域の方々に低侵襲かつ質の高い外科的治療を安全に提供できることを目的として活動しています。
胸腔鏡・縦隔鏡・腹腔鏡・後腹膜鏡などを含む体腔鏡手術は、内視鏡による鮮明な視野の共有、注入する二酸化炭素の圧力による術中出血量の軽減、術後疼痛の軽減と早期退院が特徴です。鮮明な視野により狭い空間での緻密な操作、視野の共有による術者と助手以外の麻酔科医や看護師も状況の把握が可能となり、教育や医療事故防止の意義も格段にアップしました。その体腔鏡手術に手術支援ロボットを導入することで、さらに精密な手術が可能となり、手術時間の短縮、摘出と再建の行程での質の向上、高い安全性を実現することが可能となりました。
前立腺全摘除術で保険適用となった 2012 年に当院は手術支援ロボットを導入し、2022 年からはダ・ヴィンチXi の2台体制が開始されました。これまでに縦隔腫瘍、食道がん、胃がん、直腸がん、子宮体がん、腎がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がん、その他良性疾患に対するロボット支援手術を保険診療として1,000 例以上を実施し、2021 年以降も毎年新たな術式を導入しています。
当センターは呼吸器外科、消化管外科、肝・胆・膵外科、婦人科、泌尿器科のほか、麻酔科、看護部、ME センター、医療安全管理部、事務職員など、診療科・組織横断的に構成されています。センターでの診療は実施しておらず、定期部会を中心に活動しています。
手術支援ロボットの円滑な運用システムの構築、診療科共同の機器購入申請、術式別ロボット手術中止基準の策定、事前通告不要な相互の手術見学と振り返り、センター独自のM&M カンファレンス（合併症に関する会議）の開催など、センターとしてロボット支援手術の質と安全性の向上に資する活動を行ってきました。今後も、ロボット手術の普及が一層加速することが予測され、施設として安全性の追求が重要です。新たな取り組みとして、病院独自の術者ライセンスシステムや全科共通の手術台帳の構築を実施し、安心・安全な手術を受けて頂けるよう、務めて参ります。
