※各部署の情報は2025年7月1日現在です。
診療科長 山﨑 和裕 教授
生まれたばかりの新生児から100 歳前後の高齢者まで心臓および血管疾患の外科治療を担っています。
外科治療の利益・不利益を説明し、病気に対しての手術の可否・術式など、患者さん・ご家族と一緒になって決定しています。
患者さん・ご家族の治療への希望を背負い、リスクの高い手術に取り組んでいます。
<診療案内>
心臓に関しましては、いわゆる狭心症・心筋梗塞といった虚血性心疾患、大動脈弁狭窄症に代表される弁膜症。また動脈にたいしては、大動脈瘤などの大動脈疾患、そして下肢虚血など末梢動脈疾患など、心臓から動脈まで血液の流れる部位の不具合に対して、外科的な治療が必要な疾患に対して診療を行っています。
ご存じのように島根県は全国有数の高齢者率の高い県であり、これに伴い対象となる方々の年齢も上昇してきております。また大学病院であるため、多くの合併症を抱える複雑な症例も多く、さらには一つの疾患に限らず、弁膜症や虚血性心疾患といったような複合的な手術が必要な場面も増えてきました。このため、疾患の重症度にくわえまして、患者さん自身の背景など総合的に判断し、より安全で侵襲の少ない治療も積極的に考慮しております。
また、透析の患者さんにとって非常に重要な透析のための血管作成(内シャント)にも積極的に関わっており、短時間で作成・修復をおこなっています。
<特徴>
虚血性心疾患の治療である冠動脈バイパス術では、人工心肺を使用せず、自己心の拍動下に冠動脈吻合するオフポンプバイパス手術を基本術式としており、高い技術で短時間に侵襲の少ない治療が行えています。
また、弁膜症の複雑な症例や再手術症例には、人工弁を縫合結紮する必要のない “ スーチャーレス (Sutureless) 弁 ” を使用するなど、時間短縮に努めています。さらに超高齢者など全身麻酔手術自体が難しい患者さんには、カテーテルを用いた大動脈弁人工弁植え込み術(TAVI)を、循環器内科と合同で実施しています。
大動脈瘤に関しては、基本的に胸やおなかを開けて、動脈を人工血管に置き換える人工血管置換術をおこなっていますが、患者さんの状態や動脈の状態によっては、より負担の少ないカテーテル治療であるステントグラフト留置術も考慮し実施しています。
すべての疾患で緊急手術を必要とする患者さんには、状況が許せば積極的に緊急で手術治療をおこなっています。内シャントも作成後の閉塞、感染や瘤化などトラブルにも迅速に対応しており、患者さんの不安をできるだけ軽減できるような診療を心がけています。