センター長 竹谷 健 教授
2021年4月より島根県で唯一の総合周産期母子医療センターとして開設され、出雲市はもとより島根県全域から搬送されるハイリスク妊娠の妊婦、胎児の管理、分娩、新生児の集学的治療を24 時間体制で行っています。
<センターの構成部門>
近年複雑化する高度な周産期医療を行うには、高いスキルを持つ専門医やスタッフによるチーム医療が要求されます。当センターは各部門が緊密に連携し、妊娠前、妊娠中、分娩、産後、新生児の管理までを一貫して行う集学的治療体制を整えています。不妊治療を行う生殖部門、母体・胎児を管理する母体胎児部門、新生児に対して必要な治療・管理を行う新生児部門及び新生児外科部門を設けており、産婦人科、小児科、小児脳神経外科、小児外科、小児循環器外科、眼科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医師が協力して診療にあたっています。また島根県内の各産科施設で管理されているハイリスク妊婦の情報を共有し、必要に応じて当院へ速やかに搬送するために搬送コーディネーターが専属します。さらに妊婦さんあるいは治療中の新生児のご家族を心理面からサポートするために臨床心理士も配置しています。ここに薬剤師、臨床検査技師、リハビリテーション療法士、臨床工学技士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーが加わり、多職種の連携を緊密にしながらチーム一丸となって島根県の周産期医療の発展に貢献したいと考えています。
<受け入れ体制>
当センターは県内医療機関で管理困難なハイリスク妊婦あるいは新生児全てを受け入れます。リスクの高い妊婦さんあるいは新生児はセンター内のMFICU(母体集中治療室)、NICU(新生児集中治療室)、GCU(新生児回復治療室)と呼ばれる特殊病床で24 時間体制の管理を行います。
<主な取り組みと対象疾患>
● 生殖補助医療(体外受精、顕微授精、胚移植、胚凍結保存)
● 不育症検査、治療・妊孕性温存治療(卵子凍結、受精卵凍結、精子凍結、卵巣凍結)
● 着床前診断
● ハイリスク妊娠管理(切迫流早産、妊娠高血圧症候群、胎児発育遅延、多胎、不育症、前置胎盤、癒着胎盤)
● 胎児治療(胎児胸水羊水腔シャント)
● 無痛分娩・新生児治療、管理(早産児(妊娠22 週以降)、低出生体重児、高度生児仮死、呼吸障害、感染症、先天性心疾患、染色体異常)
● 新生児外科治療(先天性横隔膜ヘルニア、先天性食道閉鎖、先天性腸閉鎖、鎖肛(直腸肛門奇形)、先天性腹壁異常(腹壁破裂など)