部長 林 健太郎 教授
院内の臨床現場で使用された医療器材の再生処理を行っています。
安全で質の高い、滅菌の保証ができる医療器材の供給を行うことを念頭に置き、日々の業務に取り組んでいます。
● 洗浄業務
ウォッシャーディスインフェクター多槽式1台、単槽式4台、減圧沸騰式洗浄装置1台、チューブ洗浄機1台、カートウォッシャー1台を保有しています。院内で使用された器材は、これら洗浄装置により、安全且つ効率的に洗浄されます。洗浄評価として、毎日実施するインジケーターを用いた洗浄テストに加え、定期的に洗浄後器材の残留タンパク質量を測定し、日本医療機器学会が定める、1器材当たり200μg 以内という基準をクリアしているか確認を行っています。
● 滅菌業務
高圧蒸気滅菌装置4 台、酸化エチレンガス滅菌装置1 台、過酸化水素ガス滅菌装置2台を保有しています。メーカーによる装置定期点検、バリデーション、化学的インジケーター及び生物学的インジケーターを用いた滅菌効果の確認により、滅菌の質を保証しています。高圧蒸気滅菌装置の年間稼働回数は増加傾向にあり、2023 年は3,965 回となりました。
● 鋼製小物個体管理システム
当院では鋼製小物個体管理システムが導入されており、鑷子や鉗子を始めとする鋼製器材2 万点以上にRFID タグを取り付け、個体レベルでの管理を行っています。手術患者への器材使用履歴、洗浄や滅菌の履歴が管理され、トレーサビリティーを確立しています。また、器材のリアルタイムでの位置情報の確認、滅菌有効期限の管理などに役立っています。
● 過酸化水素ガス滅菌装置
本滅菌装置については2023 年に更新が行われ、国産メーカーの装置による2 台体制となりました。過酸化水素ガス滅菌は、低温且つ短時間での滅菌処理が可能であり、残留毒性も無いという利点の多い滅菌法です。また、蒸気や水といった供給設備を必要とせず、200V の電源さえあれば運転が可能であるため、災害時、蒸気や水の供給が途絶え、高圧蒸気滅菌が使用出来ない場面では、本滅菌装置が効力を発揮する事が期待されます。